強姦

強姦罪は、性的自由(性的な事項についての自己決定権)に対する、強度の侵害行為であり、犯罪の中でも最も罰則の重い罪のうちの一つです。

強姦罪の法定刑は3年以上20年以下の懲役です。
3年を超える懲役刑の場合に執行猶予はつかないため、実刑となる可能性が非常に高い犯罪です。

ただ、このような重罪でありながら、親告罪であり、告訴がない限り検察は起訴できません。そのため、実刑を免れるためには、本人の反省、家族の協力はもちろん、示談の成立・告訴の取り下げに向けての弁護活動が重要になってきます。また、性的犯罪抑止のための治療を受けさせることも有用です。

強姦罪の種類

①強姦罪

強姦罪とは、暴行又は脅迫を用いて相手の同意なしに性交を行なう犯罪です。

たとえ性交渉の準備段階では相手が同意していたとしても、性交に及ぼうとした時に、相手がこれを拒否し反抗したという場合でも、暴行または脅迫によって性交を遂げようとすれば、強姦の実行行為として認められます。

ここでいう暴行とは、殴る、蹴る、拘束するといった行為が典型です。

相手が13歳未満の女子の場合は、手段を問わず、また、たとえ同意があっても強姦罪になります
強姦罪は性的自由を守るための犯罪であるため、まだ自己決定のための能力が十分でないと考えられる年少の女子に対しては、同意があったとしても強姦罪が成立します。

②準強姦罪

女性を酔いつぶす等して、心神喪失・抗拒不能の状態にさせて性交を行なった場合は、「準強姦罪」となり、強姦罪と同様に罰せられます。

③集団強姦罪

複数の人間が共同して強姦罪を犯した場合は「集団強姦罪」になります。

この場合は、告訴がなくても、告訴を被害者が取り下げても、起訴され、刑が課されます。
刑も通常の強姦罪より重く、情状酌量により刑が減軽(酌量減軽)されない限り、実刑判決を免れることはできません。

④強姦致死傷罪

強姦罪又は強姦未遂罪を犯し、被害者を死傷させた場合、強姦致死傷罪になります。強姦罪と違って、告訴がなくても、告訴を被害者が取り下げても、起訴され、刑が課されます。

刑も通常の強姦罪より重く、情状酌量により刑が減軽(酌量減軽)されない限り、実刑判決を免れることはできません。

暴行中、被害者の抵抗が激しく、性交にいたらなくとも、暴行の過程で傷が生じれば強姦致傷罪が成立します。また、強姦行為後、被害者が逃走した後に傷を生じた場合も同様です。

罪の重さは?

各罪の法定刑は以下の通りです。

①強姦罪(刑法177条)
②準強姦罪(刑法178条2項)
3年以上の有期懲役
③集団強姦罪(刑法178条の2) 4年以上の有期懲役
④強姦致死傷罪(刑法181条2項) 無期又は5年以上の懲役

罪を認める場合の弁護方針

何よりも被害者へ謝罪の意を伝え、示談をして告訴を取り下げてもらえるかどうかが大きな分かれ道です。
しかし、通常、被疑者やその家族は、性犯罪の被害者やその家族に会ってもらえない場合がほとんどです。そこで、弁護士が間に入って示談交渉をする必要があります。

示談の相場

被害感情が強く示談ができない場合が多いのも、強姦罪の特徴です。
示談できる場合であっても、当事務所が扱った案件では、100万円を超えることが多く、500万円かかった例もあります。
さらに、示談はできても、告訴は取り下げて貰えないということもあります。

示談以外にやるべきこと

再犯防止に向けて最近は、性犯罪者向けの更生プログラムを実施している民間団体があります。そうした団体と連携して、加害者に治療を受けさせるのも再犯防止という観点から効果があります。

無罪を主張する場合の弁護方針

強姦罪について、無罪を主張する場合は、ほとんどが性行為について相手の同意があったと主張する場合です。

強姦行為は多くの場合、密室の中で行われます。
したがって、同意があったか否かについて、客観的証拠がないのが普通です。
それでも無罪判決をとるのは極めて困難です。

なぜなら、被害者の女性が、当時の状況を事細かに証言すると、以下の理由で、被害者の証言は信用性が高いとされてしまうからです。

たいてい、検察は次のように主張します。

  1. 被害者証言は、詳細かつ具体的であり、真実性がある。
  2. 被害者に、嘘を言う動機がない。
  3. 被害者が他人に刑罰等を受けさせる目的で虚偽の告訴をした場合は虚偽告訴罪となるため真実性が担保されている。
  4. 被害者が法廷で法律に基づき宣誓して虚偽の供述をした場合は偽証罪となるため、真実性が担保されている。
  5. 検察側の主張と合致し、特段不合理な点が無い。

②については、実際には被害者にも、加害者に悪感情を持っていたり、処罰感情から、嘘を言う動機があります。
また、③④については被害者が偽りの証言をしても検察が告訴することは実際ありません。
⑤については被害者の主張をもとに検察側のストーリーが組み立てられている以上、両者が合致するは当然です。

これに対して、被告人供述は、多くの場合、信用性がないという理由で排斥されてしまいます。

  1. 被告人は、刑事責任を免れるため、嘘を言う動機がある。
  2. 信用性のある被害者供述と矛盾している。

被告人側の主張が、もし認められなければ(実際認められない場合がほとんど)刑が重くなるリスクがあり、被告人の側にも真実性の担保があるともいえるのです。

そのため、無罪を主張するのであれば、被害者側の供述が捜査過程で変遷していないか、客観的証拠と矛盾しないか、相手方の主張する状況に不自然な点はないかを徹底的に検証し、突き崩す必要があります。

強姦罪で起訴されながらも被告人が無罪になった例

人通りもある駅前付近の歩道上で、たまたま通りかかった女性を脅して、人気のないビルに連れ込み、乱暴したとして強姦罪で起訴された男性の事件につき、2011年7月25日、最高裁は「(起訴)事実を基礎付ける証拠としては、被害者の供述があるのみであるから、その信用性判断は特に慎重に行う必要がある。」とし、被告人の証言は不自然として、無罪を言い渡しました。

この判決は、強姦罪においては被害者の供述を安易に信用してはならないと警鐘を鳴らしており、被害者供述を偏重する現在の裁判所の傾向を正すきっかけとなることが期待されます。

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