交通事故(加害者)

交通事故を起こしてしまったら

交通事故を起こした人には、刑事、民事、行政の3つの責任が生じることになります。
刑事責任とは刑罰を受けなければならない責任を、民事責任とは事故当事者間の損害賠償責任を、行政責任とは免許の停止や取消などの責任をそれぞれ指します。
このページでは、刑事上の責任に焦点を当ててお話します。

人身事故の罪の重さは

車を運転して、相手に怪我を負わせた、あるいは死亡させた場合、過失運転致死傷罪が、飲酒や薬物の摂取により、正常な運転が困難な状態であるのに、車を運転して事故を起こし、相手に怪我を負わせた、あるいは死亡させた場合、危険運転致死傷罪が適用されます。

  ケース 刑罰
過失運転致死傷罪 負傷事故 7年以下の懲役もしくは禁錮 または100万円以下の罰金
死亡事故
危険運転致死傷罪 負傷事故 15年以下の懲役
死亡事故 1年以上20年以下の懲役

罪を認める場合の弁護方針

できる限り早く弁護活動を始めることがその後の結果に大きく影響を及ぼします。

  • 被害者との示談交渉などを行います。
  • 実況見分、取調べとも、証言は全て重要証拠として扱われるため、どのように対処すべきか発言内容についてアドバイスします。
  • 身柄を拘束されている場合、可能な限り早期に身柄が解放されるよう弁護活動をします。
  • 不起訴処分とするように検察官に働きかけます。

無罪を主張する場合の弁護方針

交通事故が発生したことは間違いないとしても、被告人には過失がなく、裁判において無罪を主張する場合、事故状況を正確に把握するため、現場の状況を調査する必要があります。そのため、事故が発生した時間帯と同じ時間帯に弁護士が事故現場に赴き、事故現場の見通し状況、道幅、交通量、照明の有無、信号機の周期等を調査します。

また、捜査記録上、目撃者が存在するならば、目撃者からも事情聴取します。現場を調査すると、警察官が作成した実況見分調書の図面が不正確であることが判明することも少なくありません。調査を尽くした後、被告人には、過失がないことを裏付ける事実を検察官や裁判官に主張していくことになります。

また、交通事故においても、被告人の供述調書は重要な意味を持ちます。捜査機関は、被害者の供述を信用し、加害者である被告人の供述を信用しない傾向にあります。「被害者に怪我を負わせてしまった加害者である」という負い目から、被告人も自身の言い分を捜査機関に主張できず、被告人に一方的に不利な供述調書が作成されてしまう恐れがあります。さらに、死亡事故の場合、被害者を死亡させてしまいショックを受けている被告人に、取調官の予断に基づいた事実関係を被告人に押しつける傾向があります。自己に不利な内容の供述調書が作成されてしまった場合、それを後に覆すのは容易ではなく、無罪主張の足かせになってしまう可能性があります。事実に反して、自己に不利な内容の供述調書が作成されないよう、弁護士の援助が必要となります。

道路交通法違反の罪の重さは

人身事故を伴わない、無免許運転、飲酒運転、重度のスピード違反などは道路交通法違反で処罰されます。

ケース 刑罰
無免許運転 3年以下の懲役または50万円以下の罰金
飲酒運転 酒気帯び運転(※1) 3年以下の懲役または50万円以下の罰金
酒酔い運転(※2) 5年以下の懲役または100万円以下の罰金
スピード違反(一般道) 50km以上 6か月以下の懲役または10万円以下の罰金
30km以上50km未満
スピード違反(高速道路) 50km以上 6か月以下の懲役または10万円以下の罰金
30km以上50km未満
※1
呼気1リットル中のアルコールが0.15ミリグラム以上0.25ミリグラム未満の場合
※2
アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態

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