盗撮

携帯電話や小型カメラの普及にともない増加しているのが盗撮事件。エスカレーターや階段、駅ホームや書店などで女性のスカート内を盗撮するといった事例が報じられています。

盗撮事件は、私服で警戒中の警察官などに盗撮している現場を目撃される、または盗撮された被害者やその周囲の一般人に取り押さえられ、現行犯逮捕されることが多い犯罪です。

盗撮事件について

盗撮は、電車内や駅、店内、路上等の公共の場所や、公衆浴場や公衆便所等のような通常衣服を付けない状態でいる場所で行なった場合には、各都道府県の迷惑防止条例違反の罪が成立します。

いわゆる「迷惑防止条例」は、名称や内容に多少の違いはありますが、47都道府県で制定されています。その中でも多く規制されているのが、痴漢や盗撮などの「卑わい行為」です。

盗撮事件は、実際に撮影したかどうかが問題となるだけではなく、東京都や神奈川県など都道府県の条例によっては、通常衣服で隠されている下着や身体を撮影する目的でカメラを向けることや、その目的で設置することも犯罪の対象となります。

罪の重さは?

条例が都道府県ごとに設けられているため、刑の重さも一様ではありません。

東京都
神奈川県
1年以下の懲役又は100万円以下の罰金
(常習の場合は、2年以下の懲役又は100万円以下の罰金)
千葉県、埼玉県、茨城県、群馬県、栃木県 6月以下の懲役又は50万円以下の罰金
(常習の場合は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰)

盗撮で捕まると、余罪を追及するため、盗撮行為に使用した携帯電話やカメラはもちろん、自宅のパソコン等も証拠として捜索・差押えされるのが普通です。

罪を認める場合の弁護方針

何よりも被害者へ謝罪の意を伝え、示談を締結できるかどうかが大きな分かれ道です。示談が成立すれば、不起訴処分を勝ち取ることが可能です。 しかし、通常、性犯罪関連の被害者は、被疑者やその家族と直接会ってはくれない場合がほとんどです。そうなると、弁護士が間に入って示談交渉をする必要があります。

初犯の場合

盗撮行為を行なったことを認める場合は、被害者と示談することが、不起訴を勝ち取る最も有効な手段です。例えば東京都では、不起訴にならない場合は、100万円以下の罰金となります。

再犯以上の場合

再犯以上の場合も、示談は有効な手段です。
ただ、被害者も警察等から、再犯であることを聞き、示談の金額が大きくなるケースもあります。

また、再犯の場合は、示談が成立したとしても、それだけで不起訴になるとは限りません

過去に行なった盗撮行為や性犯罪行為の様子、刑期又は時期、今回行った盗撮行為の内容、余罪等にもよりますが、示談に加え、家族等の監督者がより監督できる状況を作り上げるなどして、その内容を検察官に提出するなど、さまざまな工夫をする必要があります。

示談金の相場

示談金の金額は、最終的には被害者の気持ちの問題で、被疑者がどの程度払えるかが大きな要素です。余罪が多数あったり、前科があったりすると、被害者が自身の正義感から低額の示談金で済ますべきでないと考え、高額な示談案を示されることがあります。

盗撮行為で100万円を超える事例もあります。
ただ、被害者が1人の場合、10万円~20万円の範囲でまとまることが比較的多いようです。当事務所が扱った案件では1000万円の示談金を請求され、示談が不成立に終わった例があります。

性的依存症(窃視障害)が疑われる場合

性的依存症を治療する専門家に相談し、治療を受けることも情状弁護として重要です。

無罪を主張する場合の弁護方針

被疑者が、盗撮行為をしていないと主張している場合(否認をしている場合)、不起訴処分には、原則、嫌疑なしあるいは嫌疑不十分の不起訴処分しかありません。

嫌疑なし・嫌疑不十分の不起訴処分を獲得するためには、被疑者に否認を貫いてもらいます。現行犯でない場合は、例えばカメラを設置したとされる時刻に別の場所にいたなど、アリバイの立証が有用な場合もあります。
防犯ビデオが証拠に使われることも多く、防犯ビデオで本当に顔など特徴が分かるように写っているか確認することも必要です。

無罪を主張する場合の注意点

問題は、逮捕されているような場合、否認すると、罪障隠滅の恐れありとして勾留され、勾留が長期化し、勤務先を退職に追い込まれることさえあります。そうすると、否認を貫けず、結局嘘を自白してしまうことも起こりえます。

そのような事態にならないために、早期の釈放を目指す必要があります。

したがって、否認事件に対する弁護活動の第一歩は、勾留請求された場合、裁判所に却下してもらえるよう、釈放のための材料を早期に集めることです。被疑者が独り暮らしであれば、両親が引き取ることが必要です。また、被疑者の生活が安定していれば、その点の主張を整理し、いざ勾留請求されてもすぐ、裁判所に意見書を提出することができるよう準備しておく必要があります。

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