暴行・傷害

暴行罪について

暴行は「人の身体に対する不法な有形力(物理的な力)の行使」と定義されています。
殴る、蹴るなどが典型ですが、被害者の身体に直接触れていなくても、人の身体に向けられていれば、暴行に該当することがあります。
例えば、被害者の数歩手前を狙って石を投げつける行為、驚かせるつもりで椅子を投げつける行為などは暴行に当たります。

傷害罪について

傷害罪

刑法204条において、人の身体を傷害した場合に処罰されると定義されています。暴行により身体的な外傷を負わせた場合が典型ですが、暴行を手段としなくても、いやがらせ電話やメール等、精神的な障害(PTSDなど)に陥らせるケースも傷害罪に含まれます。

傷害致死罪

人の身体を傷害し、その結果、人を死亡させた場合を言います。

現場助勢罪

傷害罪や傷害致死罪とみなされる犯罪が行われる現場で、行為者をあおりたてるような行為などをした者は、この現場助勢罪として処罰される可能性があります。

過失傷害罪

故意ではなく過失(不注意)で人に傷害を負わせてしまった場合には、過失傷害罪が成立し、30万円以下の罰金又は科料が科されます(刑法第209条)。ただし、過失傷害罪は親告罪ですので、被害者からの告訴がないと起訴されません。

罪の重さは?

各罪の法定刑は以下の通りです。

暴行罪 2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金
又は拘留若しくは科料
傷害罪 15年以下の懲役又は50万円以下の罰金
傷害致死罪 3年以上の有期懲役
現場助勢罪 1年以下の懲役
又は10万円以下の罰金若しくは科料
過失傷害罪 30万円以下の罰金又は科料

罪を認める場合の弁護方針

できるだけ早く被害者に対して被害弁償や示談を行うことが重要です。

示談交渉をする場合、第三者であり、交渉のプロである弁護士に依頼することが有効です。
示談書では、通常、加害者から被害者へ示談金の支払いを約束するとともに、被害者は、加害者を許し、刑事処罰を求めない旨の条項を作成します。
起訴された場合でも、示談の有無は量刑に影響を与えるため、まずは示談を試みた方がよいでしょう。

無罪を主張する場合の弁護方針

正当防衛の主張

相手の方から殴りかかってきた、凶器を使って攻撃してきた場合は、仮に相手方に暴行を加えても、正当防衛が認められ、不起訴や無罪となる可能性があります。
弁護士が本人から事情を聴取し、正当防衛を裏付ける事情があるならば、それを主張し、不起訴処分・無罪判決の獲得を目指します。

共謀が無いことの主張

加害者が被害者を暴行したが、本人は、加害者の知り合いで犯行現場に居合わせたものの、暴行には一切関与しなかった場合でも、暴行罪、傷害罪の嫌疑がかけられる場合があります。そのような場合、弁護士が本人及び関係者から事情を聴取し、加害者との共謀がないことを主張し、不起訴処分・無罪判決の獲得を目指します。

暴行・傷害の解決事例

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