前科をつけたくない、不起訴にしたい
普段、犯罪とは無縁だと思っていても、たとえば居酒屋で飲み過ぎて自分の行動が抑えられなくて、店員に暴力を奮い、さらには店の備品も壊してしまうことがあるかもしれません。これらは、それぞれ暴行罪、器物損壊罪にあたりますが、このような罪を犯してしまっても、起訴されなければ、前科はつきません。
ここでは、刑事弁護を依頼するにあたって知っておくとよい、起訴、不起訴、前科についての基本的な知識をまとめました。
起訴とは
起訴とは、検察官が、裁判所に対して、審判を行なうよう請求することをいいます。
これにより刑事事件は、捜査段階から裁判に移ることになります。
ただし、起訴には、略式起訴といって、裁判ではなく書面審理によって罰金または科料を課す場合もあり、比較的軽微な罪では、略式起訴となることが多いです。
起訴するか、不起訴にするかは、検察官が、犯罪の軽重や情状、被疑者の性格や年齢などを考慮して判断します。
不起訴処分とは
不起訴処分とは、その事件について、刑事裁判にかけないという検察官の最終的な処分です。
不起訴はその理由に応じて、「嫌疑なし」、「嫌疑不十分」、「起訴猶予」の3種類に分類できます。それぞれの違いを下の表にまとめています。
嫌疑なし | 人違いなど、被疑者に犯罪の疑いがない |
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嫌疑不十分 | 捜査を尽くした結果、犯罪の成立を認定する証拠が不十分 |
起訴猶予 | 証拠上、犯罪の事実が明白であっても、被疑者の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により訴追を必要としない |
不起訴処分となるためには
平成26年版の犯罪白書によると、一般刑法犯の場合、61.1%の方は不起訴処分となっています。
ただし、ひとたび起訴されると、統計上は99.9%が有罪です。
そのため、有罪になるのを免れるには、起訴されない、つまり不起訴処分を獲得することが最も重要です。
不起訴処分の獲得には、起訴される前に弁護士に依頼し、最善を尽くすことが重要です。
前科がついてしまうと
- 罰金、禁固、懲役といった刑罰が言い渡されます。
- 一定の資格・職業が制限されます。
制限される資格・職業は多々ありますが、国家公務員、地方公務員は、禁固以上の刑に処せられると、必ず失職します。また、医師、歯科医師は、罰金以上の刑に処せられた場合、免許取消の可能性があります。 - 会社を解雇される可能性があります。
会社によっては、就業規則などに、刑事処罰を受けた場合を懲戒事由として規定していることがあります。そのため、前科がつくと、会社から懲戒処分を受け、最悪の場合には解雇されてしまうことがあります。また、会社の同僚に、罪を犯したことが知れわたり、会社内での信用を失う可能性があります。